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2010年5月31日 (月)

GDPデフレーター(3)

インプリシット・デフレーターまで書きましたが、いよいよ、何でGDPデフレーターが注目される理由についてなんですけど、よく言われるのが、ホームメイド・インフレの指標になるから、ということです。どういうことかと言うと、ここがGDPデフレーターの面白いところなのですが、「輸入品の物価が上がる(インフレになる)と、GDPデフレーターは下がる」という特徴があります。

「GDPデフレーターが上がる」と間違えているのではないかと思うかも知れませんが、そうではなく、「下がる」んです。親鸞聖人の「善人なもて往生をとぐ、いんや悪人をや。」ではないですが、決して逆ではないんです。

そのことをこれから説明してみます。(十分できないかもしれませんが。。。)

繰り返しますが、GDPデフレーターはインプリシット・デフレーターです。

ということは、

 GDPデフレーター = (名目GDP) / (実質GDP)

ということになります。

GDPを支出側(だから、正確にはGDEですが)でみると、

 GDP = 国内需要(民間最終消費支出とか) + 輸出 - 輸入

です。ということは、GDPデフレーターは、

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となります。ここで、輸入品の価格が上がると、名目輸入が増えて、実質輸入は増えません。そうすると、輸入は前にマイナスがついていますから、分子は小さくなり、分母は変わりません。ということは、GDPデフレーターは小さくなります。

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ただ、ここで、輸入品があがるとGDPデフレーターが下がるというのは、短絡的過ぎるところがあり、我が国は石油などの資源は輸入に頼っていますから、その価格が上がったら、当然、国内の商品についても価格が転嫁されて上がるはずです。そこで、輸入品の価格と同じだけ、国内需要についての価格が上がったとすると、GDPデフレーターはどうなるでしょうか?

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輸入価格が上がることで、名目輸入は増えますが、同じだけ名目国内需要も増えます。国内需要は前にプラスがついており、輸入は前にマイナスですから、分子は変わらないことになります。つまり、「輸入品が全部、国内に価格転嫁されれば、GDPデフレーターは変化しない」、ということがわかります。ですので、先ほどの言い方は、もっと正確に言うと、「輸入品があがり、国内に価格転嫁がされなければ、GDPデフレーターが下がる」ということになります。

以上で、GDPデフレーターについて、2つの特徴が明らかになると思います。

①価格転嫁されれば、輸入品の価格上昇はGDPデフレーターに変化を及ぼさない。つまり、輸入品の価格上昇以外の要因で国内で価格が上がったときに、GDPデフレーターは上昇する。

②輸入品が上がっているときに、GDPデフレーターが下がっている場合は、国内で価格転嫁ができていない可能性がある。

これが、GDPデフレーターがホームメードインフレ(すなわち、輸入品価格主導ではない)の指標になる、という理由なんです。

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コメント

質問です。
名目GDP=国内需要+輸出―輸入
     =国内需要(国内製品)+国内需要(輸入品)+輸出―輸入
と分けた場合は、国内需要(輸入品)-輸入=0ですので、名目GDPは輸入品価格の変動の影響を受けず、したがって、GDPデフレーターは不変なのではないでしょうか? マンキュー『マクロ経済学I』p.47にも「日本で製造されてアメリカで販売されるトヨタの乗用車の価格の上昇は、アメリカの消費者が購入したのでアメリカのCPIには影響するが、アメリカのGDPとは無関係である。」と書かれています。

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